大阪市天王寺区から住吉区の我孫子町駅付近まで、5キロ以上にわたってJR阪和線の高架に沿って計画されている道路です。
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阪神高速大阪泉北線の事業中止
実は本来、阪和線はかつて計画のあった阪神高速大阪泉北線とセットで2層構造の高架(2階が鉄道、3階が高速道路)になる予定でした。大阪泉北線は最終的に泉北高速鉄道の深井駅付近まで伸びて阪和道と連絡する予定でしたが、そのうち大阪市内の区間は実際に事業着手にまでこぎ着けていたのです。
しかし、1995年の阪神・淡路大震災を契機に風向きが変わります。阪神高速神戸線の高架が延々と根元から倒壊した映像は日本中に衝撃を与えました。当地も例外ではなく、長区間にわたって2層構造の高架を建設することに反対する声が上がります。
結局、阪和線は単体での高架化に変更されることが決まり、2006年に完成しています。一方で大阪泉北線は地下トンネルへの変更を含めて再検討されましたが、(当時の判断では)コストに見合わないということになり、2003年をもって計画自体が廃止されてしまいました。
管理人
個人的には、もし大阪泉北線が完成していたらと思わずにはいられません。現在の松原JCTから助松JCTにかけて、郊外側からは阪和道や南阪奈道路が流入してくるのに、逆に大阪市内へ最短で向かう高速道路が1本もないというのは不思議な構造です。
天王寺大和川線の基本計画
阪和線の高架化によって生まれた用地に高速道路は通りませんでしたが、かわりに新しく一般道路が計画されました。それが天王寺大和川線です。
大阪市:都市計画道路 天王寺大和川線 (…>都市計画道路>主要事業)
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000010519.html
地域住民との対話を重ね続け、2016年になってようやく大阪市が基本設計を示しました。図面を見ると、歩道や自転車道、また緑地が広く取られており、一方で自動車の通行スペースは片道1車線が基本となっています。たとえば次の図面は我孫子町駅南側の道路末端部を示すものですが、用地ほぼすべてが緑地となることがわかります。
天王寺大和川線は通過交通のための幹線道路ではなく、あくまで地域住民のための道路を目指すことが読み取れます。
用地の暫定利用へ
2006年に阪和線の高架化が完了して20年近い歳月が流れました。しかし、いまだに天王寺大和川線の用地は大半が手つかずのままフェンスで囲まれている状態です。緑地を増やすと言っても当然タダでできるわけではありません。
そこで大阪市は暫定的に用地を民間に貸し出すため、2022年秋にマーケットサウンディングを実施しました。
大阪市:都市計画道路 天王寺大和川線事業用地の有効活用に向けたマーケットサウンディング(市場調査)を実施します (…>都市計画道路>主要事業)
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000580283.html
当該路線事業は、今後事業推進に向け順次整備を図っていきますが、事業延長も長く、完成までには相当の期間を要することから、地域の活性化の観点からも、現時点で未活用となっている事業用地の有効活用を図っていく予定です。
出典:大阪市ウェブサイト
公表された提案内容を見ると、駐車場としての利用意向が大半を占めます。一方、長居駅周辺では複数の事業者がテニスコートやフットサルコートといったスポーツ施設を提案しました。隣接する長居公園との相乗効果を見込んでいるものと思われます。