Osaka Metro谷町線・八尾南駅の北側に、八尾市と大阪市平野区にまたがって広がる国有地が活用に向かう動きを見せています。

マップ左上のアイコンからメニューを開くことができます。必要に応じてレイヤーを切り替えるなどご活用ください。

八尾南駅前の現況

谷町線は東梅田・谷町四丁目・天王寺といった大阪都心を貫通して走り、全長28キロ超に及ぶOsaka Metroの最長路線です。その終点である八尾南駅の周辺はどのようになっているでしょうか。

試しに1号出口を出てみると、駅前にはフェンスで囲まれた何やら異様な空地が広がっています。

出口1
2023年3月3日撮影

振り返って2号出口側を見ても、広大な空地は続きます。遠目だと畑に見えないこともないですが、よく見るとアスファルトで舗装された土地にわざと縦横のスリットが掘られていることがわかります。はたしてこの空地は何なのでしょうか。

出口2
2023年3月3日撮影

八尾南駅の改札前には駅開業当時(1980年)の写真が掲示されていますが、現在は空地となっているこのスペースに飛行機が整列しています。もともとここは八尾空港の敷地の一部だったのです。

説明
2023年3月3日撮影

駅開業後の1984年に空港の主要施設が東側に移転し、このスペース(西側跡地)は空港としての役割を終えました。それにもかかわらず、約40年にわたって9ヘクタール以上もの空地が放置されたままなのです。都心に直通する地下鉄の始発駅の駅前がこれなのですから、大損失といって差し支えないでしょう。

隣接する地区

もと長吉車庫

そんな八尾空港西側跡地の北側には、旧大阪市営バスのもと長吉車庫が隣接しています。事業再編に伴って2013年に車庫・営業所の機能が廃止され、現在は廃墟状態となっています。

長吉長原東第4住宅

もと長吉車庫のさらに北側に広がる団地が長吉長原東第4住宅です。老朽化のため建て替えが始まっており、39号館が2022年秋に竣工、40号館も2023年春に竣工します。どちらも14階建てで、特に前者は401戸と規模が大きくなっています。

八尾空港西側跡地検討会議

八尾空港西側跡地をこれ以上放置するのはまずいということで、2010年3月に国と大阪市・八尾市による「八尾空港西側跡地検討会議」が開催されています。そして、まちづくりのイメージがある程度決まってきたということで、2022年1月にようやく第2回の会議が開かれました。この間だけで12年もかかっています。

外部リンク

八尾空港西側跡地検討会議 | 八尾市
https://www.city.yao.osaka.jp/0000060857.html

八尾空港西側跡地では、地域の活力と元気を引き出す「複合機能都市拠点」をコンセプトに掲げてまちづくりを行うことになりました。

コンセプト
出典:八尾市ウェブサイト

マーケットサウンディング

この土地の開発需要を把握するため、八尾空港西側跡地検討会議は2022年にマーケットサウンディング(市場調査)を実施しました。

外部リンク

八尾空港西側跡地活用に関するマーケット・サウンディング調査について | 八尾市
https://www.city.yao.osaka.jp/0000060320.html

東西方向に太い道路を通すことを前提に、八尾市側をA地区とB地区、大阪市側をC地区とD地区に分けています。そのうち、約6ヘクタールと全体の3分の2を占めるA地区については住宅は不可という条件が課されました。団地との競合などを考えるとやむを得ないかもしれません。

検討区域
出典:八尾市ウェブサイト

マーケットサウンディングの結果が2022年9月に公表されました。提案事業者は13団体にのぼり、業界でもこの土地の注目度が高いことがうかがえます。

調査結果1
出典:八尾市ウェブサイト

加えて、現在は廃墟であるもと長吉車庫についても複数の事業者が一体活用を希望しました。

調査結果2
出典:八尾市ウェブサイト

今後の見通し

大阪府・大阪市・堺市が2022年12月にまとめた「大阪のまちづくりグランドデザイン」によれば、2030年頃までには八尾空港西側跡地のまちづくりを完成させたいとしています。実に八尾南駅開業から50年、ついにその真価が発揮されようとしています。

外部リンク

大阪府/大阪のまちづくりグランドデザインについて
https://www.pref.osaka.lg.jp/tokuu/shin_gd/

ロードマップ
出典:大阪府ウェブサイト